彦根文化遺産

彦根足軽屋敷の街並

能・狂言

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現代に生きる「能と狂言」の継承

彦根では、能や狂言が定期的に上演され、子どもたちや大学生による発表会も催される。このような文化が根付いてきた背景には、彦根藩主井伊家に由来する大名文化の継承が色濃く見られる。

子ども狂言稽古風景

子ども狂言稽古風景

江戸幕府は能を式楽に定めて奨励した。彦根藩でも幕府に倣って能役者を召し抱え、能舞台を築いて能を催した。 最盛期には藩内に3棟の能舞台が存在した。現在、表御殿を復原した彦根城博物館の中央にある能舞台は、寛政12年(1800)に当所に築造された歴史的建造物である。明治11年に表御殿が解体された際、能舞台のみ他所に移築されており、博物館建設に伴い原位置に戻した。

日頃は、展示室に展示している井伊家伝来の能面や能装束と同様に歴史的 建造物としてガラス越しに見ていただいているが、年に数回はこの能舞台を用いて能や狂言を催し好評を博している。幕末の大老として知られる井伊直弼が自ら制作した能「筑摩江」(ちくまえ)や狂言「安達女」(あだちおんな)も上演される。「安達女」は、幕末に彦根藩に召し抱えられた大蔵流狂言茂山家に伝承していた狂言の草稿が基になっている。

博物館の能舞台では、このような定期上演によるプロの能・狂言のほか、滋賀県立大学能楽部の定期発表や博物館事業「子ども狂言教室」の発表会などさまざまに活用されている。「子ども狂言教室」は、もともと学校教育との連携で生まれた事業であり、彦根の伝統芸能を若い世代に広め継承する目的で始められた。その練習の成果を博物館の能舞台で披露していただいたことが発端であった。子どもたちが伝統の能舞台で声を張り上げながら舞う姿は、彦根に特有の歴史的風致である。

<関連リンク>
彦根城博物館[能狂言]
http://longlife.city.hikone.shiga.jp/museum/event/top.html