えびす講
商いの継承
彦根では、11月下旬の数日間、旧城下町の古いまちなみを残す各商店街が、それぞれ趣向を凝らして「ゑびす講」と称して大売出しを行う。歩行者天国として開放された道路では、フリーマーケットや屋台なども繰り出して盛況である。
ゑびす講は100年近い歴史をもつ催しで、各商店街が1年間の商売を感謝して始めたものである。かつて「彦根のゑびす講は日本一」と言われたほどに賑わった。琵琶湖の対岸からも船を出して買い物客が大勢やってきたと言う。農繁期を終えた人々が、正月用の衣類や調度などを求めて彦根に集まったのである。 ゑびす講は、本来、橋向町に今もある恵比寿神社の祭であったが、この祭に乗じて商店街が大売出しを行うようになったと考えられている。現在でも各商店街や振興組合の役員が正装して恵比寿神社にお参りした後に、ゑびす講が始まる。古くは「恵比寿講」と書き、彦根では「ゑべすこ」と発音した。